1Q84(book)

話題が少し遅いかもしれませんが、ようやく読み終えました。
村上春樹の本は昔から、多分、学生時代から文庫本で読み始め、「ノルウェイの森」とかが流行っていたころは、全く知らなくて、リアルタイムで単行本で読んだのは「スプートニクの恋人」あたりからだったと思う。

初期作品の「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」はなんとなくリアルな浮遊感のある作品で、「羊をめぐる冒険」から春樹ワールド全開な作品になってきたように思える。

ただただ、村上春樹村上春樹であって、その世界観は全ての作品に共通するのですが、誰も真似できない独自の感覚で覆われている気がする。
現実と非現実が交差する感覚。史実に忠実でありながら、現在がリアルでない世界だったりする。その感覚がはまると、なかなか抜け出せないのが村上春樹なんでしょうか。一度読んだ作品を読み返す数少ない作家さんです。

ただ、「海辺のカフカ」あたりから、少しうまく入っていけなくなり、どこか、なにかが変化したのか読んでいて、違和感のようなものを感じるようになった。
作家さんも少しずつ変わっていくのは当たり前なんだろうし、書きたいものや、感じ方も年をとれば変っていく、そんな変化なのかもしれない。まあ、自分自身の感じ方も変わっていくだろうし。
次の「アフターダーク」もそんな感覚を覚え、今回の「1Q84」も読み終えた感じはそれに似た感覚でした。

主人公二人が、交互に物語を進めていく。「天吾」と「青豆」という奇妙な名前をもった二人が。二人は実際に絡んでいくようで、絡んでいかない。ただ、同じ世界観の中で同じものを共有する。それに留まって終わる。
すごく話題になり、すごく売れた本なのですが、どんな人がこの本を読んで、どんな感想を持っているのか知りたい気がする。抽象的な世界が、現実的な世界にどんなふうに受け入れられたか。なぜかそれを知ったら、この本をちゃんと読んだような気になる気がする。

でも、村上春樹ってすごいと思う。世界中で翻訳されて、読まれているのだから。この村上ワールドは世界共通なんでしょうか?

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2