「(500)日のサマー」 と 「マイレージ、マイライフ」 (movie)

高校の頃まで、育った町には映画館が2館しかなかった。
洋画、邦画1館ずつ。観る映画を選ぶことができなかった。ただ封切られる映画を観るか観ないかだけの選択だった。
現在のシネコンという一つの場所で、何種類もの映画が観られるという環境は、当時では考えられないことだった。それでも、一つだけ勝っていたものがあった。
「映画2本立て」これはもう、今では考えられないことなのかもしれない。大体がメインの大作映画と、もう一つはよく分からないマイナーな映画だったりした。でもその、よく分からない映画が結構、面白かったりした。1本分の料金で2本映画を観ることができる幸せ。まあ、時間を持て余していた時代だからできたことなんでしょうが、贅沢な時間を過ごしてました。

で「(500)日のサマー」と「マイレージ、マイライフ」の2本立てです。

どちらも、そこまで期待せず、レンタルショップの5本で1000円というキャンペーンに踊らされて借りたものだったのですが、結構、好きな映画になりました。
「(500)日のサマー」(500)日のサマー [DVD]
どことなく、ノスタルジーな感傷を引き起こす映画でした。
ミュージックビデオを主に撮っていたマーク・ウェブという人が監督。まあ、聞いたこともなかった監督でしたが、ミュージックビデオ出身ということもあってか、映像の編集がこの映画のミソになっています。
500日という時間設定があって、その500日のなかの一日がランダムに映画の中で再生されていきます。最初から後のほうの日が始まって、次に最初のほうの日が流れると言ったように時間軸がランダムです。この時間のランダムが映画のポイントになり、面白みにもなっています。結果のようなものを最初に見せておいて、その過程を見せようとしている。一見、そんな感じにも観えるのですが、そこをうまく使っているのがまた面白い。

「この映画は恋愛映画ではない」と最初にことわりがはいるのもセンスなんでしょうか。
運命的な恋愛に憧れるグリーティングカード制作会社に勤める青年が主人公で、その会社にひアシスタントとして新しく入ったサマーに一目惚れすることから始まる映画。運命を信じる男と、運命を恋を信じない女。
運命か偶然か。語りつくされたような命題の中で、純粋に突っ走る青年と、どこか冷めた感じの女の子。決して恋人という関係にはならない。どこからどう見ても、男にしては恋人関係なのに、相手からはそう思われない。その辺のジレンマみたいなものが、昔の映画のようなノスタルジーを漂わせている。
でも、惚れた男の情けなさを主人公が、ストレートに表現しているところに好感を持ちました。どこか昔の「セイエニシング」に出ていた「ジョン・キューザック」を思い出させる。セイ・エニシング [DVD]
内容的にあまり覚えていないのですが、爽やかな恋愛映画だったように思う…。ジョン・キューザックが両手でラジカセを持ち上げいるシーンがなんとなく覚えている。ちなみにこのジョンキューザックさん最近では「2012」2012  スタンダード版 [DVD]なんかにも出演してました。

編集と時間の使い方で、古典的な映画を今風にアレンジしたようなこの作品。途中で、主人公の願望の映像と、現実の映像を画面に半分ずつ描いてみたり、主人公がサマーとうまく行き始めた時に、ミュージカル映画のように公園でアニメも入りながら踊るシーンなんかもこの監督のセンスなんでしょうか。個人的には踊りはいらないような気もしたのですが…。

最後は、二人の立場が逆転したかのようにも見えたのですが、変わらない主人公が救われるほっとする映画です。シンプルなストリーとランダムな時間軸をうまく使った面白い作品でした。
人生なんて全て運命か偶然。 どっちかなのかは、その人次第なんでしょうね。いや、よかった。

マイレージ・マイライフ」
マイレージ、マイライフ [DVD]ジョージ・クルーニー」という俳優さん。有名ですよね。でも、あんまり好きじゃなかった。どこか鼻につく。
結構、出演している映画も観た気はするけど、あんまり残っているものがない。しいて言うなら「オーシャンズ11
オーシャンズ11 特別版 [DVD]
これはシリーズになって、「オーシャンズ13」までやってたような気がする。それなりに面白かったし、豪華な映画だった。でも内容をあまり覚えてない。そんな映画でした。
でもこの「マイレージ・マイライフ」で少し好きになりました。クルーニーが演じる主人公は、一年のうち322日出張しているビジネスマン。仕事内容は、他人の会社のリストラを宣告する人。家に帰るより、空港や機内のほうが我が家だと感じる人。周りにいつも人が溢れているようで、関係は希薄。人との距離の保ち方が、その仕事内容にも重なる。
夢はマイレージを1000万マイル貯めることで、「バックパックの中に入りきらない人生の持ち物は背負わない」をモットーとしている。そんな生き方をする主人公が、会社に入ってきた新人や、出張先で知り合った女性、関係が希薄だった家族との距離の取り方に変化が起こり、物語が進んでいく。
主人公には、少し残酷な話なのかもしれないとも思った。いい意味で変化していったはずなのに、元に戻ってしまうような感じが。でも、変化する前も後も、個人的には好きだなあ、と思う。
関係性をきちんと意識して保っているスタイルが、素敵だと思う。
「人生の重さはどのくらい? 想像してみてください、バックパックを背をった自分を」と語るクルーニーがよかった。

http://movies.foxjapan.com/500daysofsummer/
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